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アジアNGOリーダー塾 修了生の活躍紹介
地域と世界をつなぐゲストハウス「Little Japan」の立ち上げ
第5期生(2013年度)柚木理雄さん



2017年7月5日 

柚木さんは「アジアNGOリーダー塾」の第5期生です。農林水産省に勤めながら、2012年に東京・日本橋に(特活)芸術家の村を立ち上げ、シェアハウスなどが入る「ソーシャルビジネスラボ(SBL)」を運営していました。また、第2期生の黒柳英哲さん(2015年、ミャンマーにマイクロファイナンスとBOPビジネスを支援するリンクルージョン(株)を設立)らと共に「SOIF」(The Social Investing farm)を立ち上げ、「寄付が変われば、社会が変わる。~「自分」と「未来」を変える、新しい寄付のかたち~」をテーマに活動されています。2017年に入って農林水産省を離れ、このほど東京・浅草橋にゲストハウス「Little Japan」をオープンされました。


「Little Japan」は東京・浅草橋の空き家を利用して2017年5月にオープンしたゲストハウスです。宿泊者用に2階から4階に34ベッドがあるほか、1階にはカフェバーをつくってラオスのフェアトレードコーヒーや地ビール、日替わりプレート、カレーライス、おつまみなどを提供し、宿泊客や近所の人やふらっと立ち寄った人たちが、そこで出会った人たちと会話を楽しみながら、ゆっくり食事ができる場を提供しています。コンセプトは「地域と世界をつなぐゲストハウス」。今回、柚木さんにLittle Japanを立ち上げた思いを語っていただきました。


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(左)柚木さん。Little Japan 1階のカフェ&バーにて
(右)「あれ?ここ、何やってんの?」通りすがりの近所の人たちが気軽に声をかけることを想定して通路側の窓を一面ガラス張りにした


■ゲストハウスだからこそできる特別な体験をしてもらいたい


今の日本の市場は小さく、外に目を向けなければならないと感じています。そこで注目したのが"資源"(リソース)です。日本の地域のモノと海外の人がほしいと思っているモノを一致させ、日本にある資源を利用して、地域と世界をつなぎたいと思っています。
「Little Japan」という名前は、小さな日本を感じてもらいたい、日本ってこんなかんじなんだ、ということを感じてもらいたくてつけました。まずは「人」。ローカルな人との接点をここで持ってほしいし、ローカルな人と触れる機会をつくりたいと思っています。それから「もの」。必ずしも伝統的な日本のものというのではなく、現代の日本には例えばアニメのようなサブカルチャー的なものもあるし、テクノロジーもあります。旅の醍醐味は人との出会いだと思っています。ゲストハウスで、その瞬間しか味わえない特別な体験をする。一緒に料理をしたり、飲んだりするだけかもしれないけれど、そこには特別な体験ができる空間と時間があると考えています。


■アジアNGOリーダー塾での学びを終えて起業へ


アジアNGOリーダー塾のことは、たまたまホームページを見て、フィリピンへの海外研修*が楽しそうだったし値段も安かったので、気軽に応募しました。塾に入って良かったと思うことは、他の塾生との出会いです。出会ったメンバーらと共に新しい活動を起ち上げることができましたし。
農林水産省を辞めることに対しては、不安はなかったですね。いろんな人から安定した公務員の方がいいのではと言われましたが、それよりも、限られた人生の時間のなかで今やるべきだと思っていることをやりたい気持ち、それをやらなければ後悔するなという気持ちの方が強かったのです。
この先は地域と世界をつなぐというビジョンにもとづいて、ビジネスをつくり地域を活性化するために、新しい事業を構想しているところです。今は宿のオペレーションをきっちりする段階、次の段階に、お客さん1人1人の顔を覚えて外国の方々と地域の方々をつなぐ。その次の段階は、お客さんからニーズを聞いてビジョンの実現に一歩踏み出す。だんだんオペレーションができるようになってきたので、より良いコネクションを作るにはどうすればよいかを考えているところです。


■これからアジア社会起業家育成塾で学ぼうとしている人へのメッセージ


私は良い仲間ができて、仲間と共にSOIFをたちあげて一緒に活動することができました。そんなふうに活動が広がったのも、アジアNGOリーダー塾に入ったからだと思っています。何かやりたくてむずむずしているような仲間と出会えます。それから、海外研修がとても楽しかったですね。代表の伊藤道雄先生はとても顔が広いので、第一線で活躍しているNGOのリーダーと直接出会って話をすることができました。これはとても貴重な経験になりましたし、価値があったと思います。
起業は無理に何かをやるものではありませんが、小さくとも何か始めてみるといいのではないかと思っています。リスクって別の見方をすればリスクではない。やらない人がやらないのはリスクがあるからではなく、何か理由づけをしてやらないだけなのではないでしょうか。やる理由が強くないとやらないのかなと。なので、みなさんには気負いなく、今、心の中にある「やりたい」という気持ちを大切にして行動してもらうといいのではないかと思います。

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フィリピンへのスタディツアーにて。参加者、現地NGOリーダー、フィリピンの農村部の人々と共に


柚木さんが参加した海外研修:


アジアの現場を体感し、現地NGOリーダーたちとの対話を目的に、1週間フィリピンを訪問するスタディツアー。最初の3日間は、NGO連合体「COODE NGO」、政府や企業等へ政策提言を行うNGO「IBON」、企業250社が支えるNGO「PBSP」、アジア10ケ国の農民組織が支え合う連合体「AFA」の訪問に加え、パヤタスにあるスラムの実態にも触れた。さらに、社会起業家2人を訪問した。ひとりは日本人女性で、スラム出身の子どもを雇用し、彼らの自立を応援するカフェ・レストランの経営者。もうひとりは、80年代半ばに立ちあげたNGOを起点にして、小規模金融銀行を立ち上げ、現在では200万人の貧困女性を支援する「CARD Bank」の」創設者。4日目の午後は個人研修で子どもの教育、環境、農業分野等に分かれてそれぞれが関係するNGO等を訪問し、情報収集・意見交換を行った。最後の2日間は、ネグロス島の農村地域を訪問。日本のNGO「オイスカ」が実施している養蚕事業を通した貧農への支援活動、元サトウキビ農場労働者の共同経営が成果を上げている農場や貿易を通して支援する㈱オルタ・トレードなどを訪問。遅々として進まない同島の農地改革の現状、経済のグローバル化が農業労働者へもたらす負の影響などについて多くを学んだ。