ASIA NOW ―アジアの現場から

スリランカ女性たちの新たな挑戦【スリランカ】

■2010年8月2日
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夕暮れのゴール海岸。スリランカでは津波による死者は3.5~4万人、約51万人が家を失った

公益信託アジア・コミュニティ・トラスト(ACT)の特別基金「大和証券グループ津波復興基金」では、インド、スリランカ、インドネシアの3カ国において、現在も被災地域の復興支援事業が続けられている。


7月上旬には、同基金を設定された大和証券グループ本社の方に、スリランカのプロジェクト地(南部州ゴール県)を視察していただいた。この事業は現在5年目の中間期で、本年度は、2005年~09年に設立された被災女性による住民組織が16グループ(メンバー総数 527人)に、08年までにカナダからの支援で設立した周辺地域の7グループ(272人)を合わせた23グループ(合計799人)に対して支援を行っている。

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最初に設立された最大グループ「サマギ」の会合での集金風景。事務局長(右)と会計係(右から2番目)がダブルチェックし、領収書、帳簿への記録を行う

各グループは独立採算制で貯金、融資活動、個人およびグループ・ビジネス活動を行っており、内容は各グループの規定によるが、融資は2,000~25,000ルピー(約1,543~19,296円)、利子(月利1~2%)、義務貯蓄は1人あたり50~100ルピー(約38~77円)のほか、会費にあたる「シェア」や、葬儀や祭事のための福祉ファンドなどもある。彼女たちの地道な活動の結果、グループ基金額は合計で約415万ルピー(約320万円、2010年6月末現在)となり、前年同月から約98万ルピー(約76万円)増えた。


最初に設立(2005年9月)された「サマギ」グループは、全グループ中最大規模で(メンバー数72人)、グループ基金額は約86万ルピー(約66万円)となった。この地域では高利貸しは月20%もの利子を課していたが、女性グループの月利は2%のため高利貸しは商売ができなくなり、月利10%に下げたという。地域経済に変化をもたらした一例である。

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今年から全女性組織の会計基準・方式を統一。印刷業を営むメンバー(写真)が、一括して専用フォームを印刷している

さすがに23グループもあれば、それぞれに特徴がある。興味深いのは、海岸沿いで交通アクセスが良い地域よりも、後年設立された、丘陵沿いの不便な地域のグループの方が、個人ビジネスを多様化させて競合を避け、村市場や結婚式サービス(美容、ケータリング)などのグループ・ビジネスも積極的に行っている点である。


また、数年前に設立されたあるグループは活動が停滞していたことから、活発なグループとの経験共有を図るプログラムを昨年実施したことが功を奏し、基金額を増やして見事な変貌を遂げ、グループ・リーダーとメンバーたちが堂々と成果を披露したことに嬉しい驚きと感動を覚えた。

「私たちのグループ基金は自分たちのお金で自分たちが運営している。他のNGOやマイクロファイナンス機関は外部の人が管理している。そこが違いです。」「私たちの目標は女性銀行をつくることです。」と誇らしげに語る女性たち。今年から全女性グループの会計基準を統一し、各組織の法人化を進めている。その後、23グループの上部組織を設立し、彼女たちが真に独立する日も近い。


<報告:鈴木真里>