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神田外語大学CUPメンバーのカンボジアACT助成事業訪問への協力

■2010年12月9日
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バスが入れない農村で、訪問先まで田んぼのあぜ道を歩くCUPの学生の皆さん

2010年11月22日~27日に、神田外語大学(千葉市美浜区)の学生ボランティア団体 CUP(Create Universal Peace) のメンバー12名がカンボジアを訪問され、ACT事務局のACC21は、ACT助成事業地の訪問、現地NGOとの会合の開催などの一部実施協力を行いました。


CUPは、毎年幕張地区の企業、地域住民等から提供された服、食器、書籍などの販売、有志グループによる飲食ブース等の出展などを行う「幕張チャリティ・フリーマーケット」(通称、幕チャリ)を主催し、5月のイベントと秋の学祭でのイベント実施による収益金を、2006年以降、毎年ACTにご寄付いただいています。2006年度から2010年度までの5年間の寄付金総額は、750万1千円(2010年12月8日現在)になります。

 

このたびのカンボジア訪問は、ご寄付金が活用されているACTの助成事業現場を視察することを目的に行われました。


事業地域の農村訪問

最初の2日半は、カンポット州とコンポン・チュナン州のCEDAC(カンボジア農業開発研修センター)の事業地域の村々を訪問しました。カンポット州訪問に際しては、前日の夕方に途中のタケオ州まで移動しました。プノンペンから地方へと続く幹線道路は、好調なカンボジア経済を反映してか、舗装化や橋の架け替え等の工事が行われており、砂埃が舞っていました。


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農民リーダー、ビン・チンさん(赤いタオルを首にかけている男性)のお宅で話を聞く

赤土の未舗装道路と田園風景が広がるチュック郡の村では、2006年からCEDACによるトレーニングを受けた農民リーダーのビン・チンさんのお宅を訪問しました。この村(250世帯)では、2006年にCEDACの仲介により農民協会が設立され、当初参加した農家は10世帯だけでしたが、現在では85世帯が参加しているということです。


集約的稲作法(SRI)の実践で米の収穫量が増えたこと、家庭菜園や養魚で新たな収入源を確保できたこと、牛の糞を発酵させるバイオガスタンクを設置し、電灯や料理用コンロの燃料に活用されている、ミミズによる土壌分解で有機肥料を作るなど、トレーニングと実践の成果を披露してくれました。

SRIは、CEDACが組織化の仲介支援をしている農民協会(Farmer Association: FA)を通じ、カンボジア全土で普及・推進している技術で、8~12週間の苗を1本もしくは2本ずつ等間隔で植えます。この方法で行えば、少ない水量で育てることができ、稲の根がしっかりと土壌に根付き、丈夫に育つそうです。また、害虫駆除のための農薬散布はせず、藻を取り除くための手動の機械を使うことで、土の中に十分な酸素を送り込むことができます。SRIの実践で1ヘクタールあたり1.5トンだったコメの収穫量が、6~8トンになった人もいるそうです。

また、養魚池と水田をつなぎ、水が循環するようにしたことで、乾季でも水を蓄えられ、魚の糞が田畑の肥料になるということでした。ビン・チンさんは、有機栽培のキュウリをその場でもいで皆さんにふるまってくださいました。新鮮なキュウリは甘くて水分たっぷりで、暑さで渇いた私たちの喉を、潤してくれました。

また、この村の農民協会では、CEDACの助言に基づき、貯蓄・融資グループを設立し、グループの基金額は現在では1億5百万リエル(約216万円)に増え、高利貸し頼みだった村人の生活が改善され、ビン・チンさん自身、この4年間で約2,500ドル(約21万円)の貯金ができ、老後は毎月の利子収入80ドル(約6,700円)と、自給自足で暮らせると話していました。


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有機米栽培の農民グループの皆さん。実行中の様々な改善点や新たな取組みを教えてくれました。

その翌日に訪問したコンポン・チュナン州の農家でも、トレーニングを受けてニワトリの餌を合成飼料から米ぬかや薬草入りの天然素材のエサに変えたことで、病気によりニワトリがあまり死ななくなったことや、合ガモ農法を取り入れていることなどの、複数の取り組みで収入が3年で5倍になり、4人の子どもたち全員を学校に行かせることができたという話を聞くことができました。


この他、2か所の精米組合と、有機米栽培の農民グループを訪問しました。共通しているのは、組織化することで、仲買人に安く買い叩かれていたコメの販売価格を自分たちで決められるようになったことでした。その一方で、精米組合では、農民から買い取ったコメがすべて売り切れ、需要があるのだが組合の資本が足りないために、これ以上買い取ることが難しいという課題について話を聞きました 。



カンボジアのマイクロファイナンスの現状

首都プノンペンでは、ACTが2007年度から支援しているFLD(農民の生計開発団体)の事務所を訪問し、ACTから支援を受けた後急成長し、フィリピン最大規模のマイクロファイナンス機関となったCARDのカンボジア現地事務所代表も同席し、カンボジアでのマイクロファイナンス(MF)の現状について学びました。カンボジアではMF機関(MFI)が乱立し、社会的使命を忘れて無茶な貸し出しに走る機関が多く、貧困層の人々を多重債務に陥らせている問題があるという話を聞きました。そこで、FLDでは自助グループを村落レベルで組織化し、融資のための資本構築を目的とした貯金を推進し、そこから融資を行う「村落貯蓄・融資組合(VSLA)」アプローチをとっています。


CARDのカンボジア現地事務所は、NGOからMFIになった現地パートナー機関と、FLDを含むACTの現地パートナーNGOを対象に、財務強化、リスクマネジメント、財政運営トレーニングなどを行っています。規模が大きくなったにも関わらず、今でも社会的使命を忘れずに活動しているCARDの手法は現地パートナーからも高く評価されていました。


ACTの助成金(1件あたり年間平均100~300万円)が、何千世帯もの貧しい農家の生活改善に役立ち、状況が数年で改善される事例を視察し、実際に受益者の方々のお話を聞かれたことで、今回の訪問に参加されたCUPの皆さんは寄付金が活かされていることを実感されていました。また、幕チャリに携わる方々の在学中に、1度でも助成先を訪問できる機会があるよう、今後も数年に一度、現地訪問の機会をもちたいという感想がありました。



<報告:上田、鈴木>