農民グループ組織化の取り組み【カンボジア】
ACTの助成先で、カンボジア最大規模の現地NGO「カンボジア農業開発研修センター」(以下、CEDAC)は、生態系に配慮した農業の発展と、相互扶助型農民組合の組織化を推進している。2011年9月現在、カンボジア国内の21州の4,776村で活動を展開し、全国でおよそ14万人の農民が参加している。
ACTは、CEDACが仲介する各地の農民グループ、協会の設立支援、各種技術トレーニングを2007年度から現在まで5年にわたり支援している。2010年度からは、首都プノンペンから車で3時間ほどのコンポン・チュナン州(人口約50万人)での事業を支援している。
冠水した道路の様子。道路は比較的高い位置に建設されているが、写真の地域ではひざの高さくらいまで水没していた。(2011年10月中旬、コンポン・チュナン州)
農家は大切な資産である牛や豚を寺院(パゴダ)の庭に避難させていた。 (2011年10月中旬、シエムリアップ州)
カンボジアでは今年、10年に一度の大洪水に見舞われ、150万人が被災、250人近くが死亡した。田畑への被害も深刻で、全水田の17%が水没したと報道されている(2011年11月5日朝日新聞朝刊より)。
ここコンポン・チュナン州も同様に洪水の影響を受け、今回訪問した地域では水田の10%が水没したという 。支援先の村を訪問する道中でも、冠水した道路や、水没した家を多く目にした。
CEDACの支援を受けているブーン・カッ村(Beung Kak)も、洪水の影響を受けた村のひとつだ。この村では、2010年7月より野菜生産者でグループを設立した。グループを設立する以前も野菜は栽培していたが、生産量が少なく、自家消費していただけであった。CEDACから野菜の共同販売と市場開拓について聞いたことで地元の農家が関心を示し、有機野菜の栽培と販売を始めたという。現在では、毎月200~250kg 程度の野菜を共同販売しており、多いときは月40ドル(約3,107円)近く収入があるという。
訪問した10月下旬は雨季の終わり頃を迎えていたが、今年はタイと同じくカンボジアも水害が発生した影響で、一部の田畑で栽培ができなくなるなど、生産量は減少していた。しかし、「水が引いたら米の栽培を始める予定」「洪水のおかげで近くに池ができ、農作物の代わりに魚を獲っている」など、前向きな声もあった。
メンバーにSRI農法の利点を説明するブーン・レアック村の組合リーダー。メンバーにわかりやすく伝えるために、図や具体的な数字を書いた模造紙を自ら用意していた。
一方、同じく訪れたブーン・レアック村(Beung Leach)では、2010年6月に始まった貯蓄グループが大きな成果を上げていた。活動開始当初、たった9人で始まったグループは、順調に活動を拡大して2011年6月には農民組合に発展し、現在では村の人口の8割にあたる130 人が活動に参加している。グループの合計貯蓄金額は38,000ドル(約295万円)と いう大金だ。
実は、この村には、ACTが支援する以前の2007年に設立されたグループがあったそうだが、自治体との連携ができず、活動を継続する資金もなかったため、活動が停止してしまっていた。このときの経験について、農民組合のリーダーは「活動が一度ストップしたことは、私たちにとって良い経験だった。この失敗によって、自立して活動をしなければならないということを学ぶことができました。」と振り返る。
現在、この組合では、貯蓄活動やSRI(集約的稲作法)のほかに、貯蓄したお金を元手に精米機械を共同購入し、精米ビジネスを行うなど、村全体の利益になるような活動を積極的に行っている。
カンボジアは、全労働人口の6割が農業に従事する農業国であるにもかかわらず、1ヘクタールあたりの米の年間生産高は3トンを下回り(日本では1ヘクタールあたりおよそ5.3トン)、農民の生活はいまだ厳しい。しかし、貯蓄活動や野菜の栽培・販売、米の生産量拡大などの地道な努力を農民自身が中心となって続けることで、生活を少しずつ良くしていく兆しが見えていると感じた。
<報告:ACC21辻本紀子>
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