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数々の苦難を乗り越えて前に進む【フィリピンの路上から】

2021年3月17日 

2021年3月2日、「フィリピンの路上で暮らす若者の自立支援プロジェクト」の修了式が行われました。参加したのは、2019年度後期(2020年1~8月)と2020年度前期(2020年8月~21年2月)のプロジェクトの修了生です。

フィリピンの首都マニラでは、新型コロナウイルスの感染拡大に伴い、2020年3月中旬から都市が封鎖され、厳しい外出・移動制限が課されました。このプロジェクトで支援している路上の若者たちも、職場の閉鎖や路上でのビジネスの禁止などで日々の生活の糧を失い、いつも以上に困窮した生活に追い込まれました。そのような状況でも、自立をめざしてプロジェクトに参加し、見事修了した若者たちに心より拍手を送りたいと思います 。

2020年度前期研修生のひとりロウェナ・マボランさん(写真左から2番目)が、これまでの人生とプロジェクトからの学びを振り返りました。

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私は、自分が路上に住み、非常に若い年齢で子どもを産むとは想像もしていませんでした。17歳の時に妊娠し、今は子どもたちや私の母親とマニラ市のエルミタ地区で暮らしています。

子どもの頃は地方で両親と祖父母とともに幸せに暮らしていました。しかし、両親はいつからか昼夜問わず喧嘩をするようになり、父が母に暴力を振るようになりました。暴力が激しさを増し、我慢できなくなると、母は3歳の私を連れ、ほんの少しの服とわずかなお金だけをもって家を出ました。頼ることのできる親せきはいなかったので、私たちはマニラに来ることになりました。

路上での最初の夜、二人で建物の前に寝る小さなスペースを見つけ、段ボールと荷物をベッドと枕にしました。空腹で、寝るには暑かったので、母と一緒に泣いたことを覚えています。当時は路上で寝るのに慣れていなかったので、車の音がうるさいと感じました。

しかし、路上での生活にはすぐ慣れ、母も小さな店の手伝いや、花売りの仕事をはじめました。学校には4年生までしか通うことができませんでした。制服姿の子どもを見ると嫉妬を感じました。

幸いなことに、友人を通じてチャイルドホープの路上教育を知り、参加するようになりました。おかげで、子どもの権利などについて学べただけでなく、食べ物を提供してもらうこともできました。そのうち、母は再婚を決め、その相手が暴力的だったことから喧嘩になり、私は母のもとを去りました。その間にボーイフレンドと知り合い、すぐに妊娠しました。当時まだ17歳で、子どもの育て方もわからなかったので、妊娠を知った時は泣きました。しかし生まれてくる子どものために自分自身を励まし、母とは妊娠を伝えたことを機に和解しました。その後無事出産し、私と夫は子どもに食べ物とミルクを与えるために一生懸命働きました。

22歳になるまでに、4人の子どもを産みました。今はそのうち2人と暮らしています。1人はすでに亡くなり、1人は義理の母に預けています。夫はアルコール依存症になり、仕事にも行かなくなり、夫婦関係は悪化しました。それでも子どもには父親が必要だと思っていましたが、彼が暴力を振るうようになったため、夫の元を離れ、また母親と暮らすようになりました。

rowena2.jpg子育てには苦労していますが、子どもたちが毎日何か食べられるように努力しています。「家族の生活を良くしたい」とチャイルドホープに相談したところ、「フィリピンの路上で暮らす若者の自立支援プロジェクト」を紹介されました。このプロジェクトに参加したほかの人たちが定期的な仕事を見つけ、彼らの生活が本当に変わったのを見てきたので、私も家族のために自分自身を変え、もっと多くのことを学びたいと思い、2020年9月から事業に参加しました。ホテルやレストランで働くことが夢だったので、飲食サービス・コースを受講し、無事修了しました。事業を通じて、職業技術はもちろん、他の人たちの付き合い方やお金を貯金する方法など様々なことを学びました。

現在、新型コロナウイルスの感染拡大によって様々な困難がありますが、家族により良い未来が訪れるという希望を持っています。家族のために良い仕事を見つけ、私が経験した困難を子どもたちが経験しないで済むようにしたいです。貯蓄を続け、今考えているビジネスを実行に移したいです。


幼いころから路上で大変な生活を経験しながらも、"子どもたちに同じ経験をさせたくない"と前を向くロウェナさんは努力を重ね、プロジェクトを通じて「飲食サービス」コースと「バリスタ(コーヒーを淹れる専門技術)」コースの両方を修了しました。現在は海外での家事手伝いの仕事を含め、家族を養うための仕事探しをしているそうです。

現地事業担当者のアラン氏はこのように話しています。
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フィリピンの路上で暮らす若者の自立支援プロジェクトでは、より多くの若者たちが、ロウェナさんのように自立のための学びの機会を得られるように、引き続き活動に取り組んでいきます。
(報告:事業担当 辻本紀子)

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