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自立支援プロジェクトでの経験が誇り【フィリピンの路上から 】

2021年7月6日 

フィリピンの新型コロナウイルス感染者数は144万人に達し、死者は2万5,000人を超えました。現地政府は早期のワクチン接種の推進と年末までの集団免疫の獲得をめざしています。しかし、6月下旬の報道によればこれまでの接種回数は800万回程度(うち600万回は初回接種)で、政府の「年末までに7,000万人にワクチンを接種する」という目標にはほど遠い状況です。

そのような中で、マニラの外出・移動制限は昨春や今春に比べると緩和されています。店内飲食や美容院なども収容人数の制限つきで営業できるようになり、ACC21のパートナー団体・チャイルドホープのハーベイ事務局長によれば「飲食業界はゆるやかに回復基調で、雇用も生み出しつつある」といいます。飲食業界での仕事は路上で暮らす若者にとって身近で、コロナ以前には多くの若者がレストランやホテルなどへの就職をめざしていました。それでもコロナ前の水準には遠く、「2022年には大統領選挙が予定され、今後選挙キャンペーンに関心が向けられ、コロナの経済への影響は2023年まで続くのではないか」とハーベイ事務局長は予測しています。

2018年に「路上で暮らす若者の自立支援プロジェクト」に参加し、飲食サービス・コースを修了したアンジェリカさん(22歳)も、コロナで失業した元ストリートチルドレンのひとりです。14歳で子どもを産み、無実の罪で1年以上拘束された経験をもつアンジェリカさんにとって、『このプロジェクトの経験こそが誇り』だといいます。アンジェリカさんのストーリーを紹介します。

angelica.jpg プロジェクトの仲間と実地訓練(オン・ザ・ジョブトレーニング)に取り組むアンジェリカさん(右端)

アンジェリカさんは、マニラのセントラル・ラーマで8人きょうだいの末っ子として生まれました。小学5年生の時、放課後に路上教育を行っているチャイルドホープと出会いました。路上教育に参加する子どもたちの様子を眺めるうちに、どんどん興味が湧きました。やがて、遠慮しながらも午後には欠かさず顔を見せるようになったため、チャイルドホープの路上教育者がアンジェリカさんに参加するよう声をかけました。

路上教育の内容はアンジェリカさんにとって知らないことばかりで、とても興味深いものでした。道徳心や正しいことをするよう心がけることなどでしたが、これらは将来への大きな糧となりました。アンジェリカさんは詰め込み式の学校授業に関心を持てませんでしたが、チャイルドホープが行う授業では、他人への思いやり、子どもが18歳になり大人になるとはどういうことか、子どもの将来、学校に行けなくなってもどうすれば学び続けることができるのか、といった大事なことを学びました。

アンジェリカさんが経験した人生最大の試練は、無実の罪で1年2か月もの間、警察に拘束されたことでした。友人たちと何の気なしに街をぶらぶらしていたところ、警察に捕まってしまったのです。彼女はその長く辛い期間を耐え抜き、14歳のときに産んだ息子のために生き抜いてきました。

その後、アンジェリカさんはいとこから、「路上で暮らす若者の自立支援プロジェクト」では、ネックレスの作り方やTシャツ・プリントの方法、理髪やマッサージ療法など様々な研修を受けることができると聞きました。そこで、2018年夏に「飲食サービス」コースに申し込み、先生や他の生徒からの助言を受けながら、無事修了することができました。本プロジェクトに参加したことで自信をつけたアンジェリカさんは、諦めることなく職探しを続け、ついにスーパーマーケットで販売促進・仕入れ担当の仕事につくことができました。

angelica4.jpg真剣に研修に参加するアンジェリカさん
しかし、新型コロナウイルスの感染拡大は、アンジェリカさんにも大きな影響を及ぼしました。他の多くの同僚たちと共に解雇され、今では金銭的な困難に直面しています。ロックダウンが緩和された現在も仕事に戻るめどが立たないため、新たな仕事を探そうとしています。状況は不透明ですが、新しい仕事はすぐに見つかるだろうという希望をまだ失っていません。

チャイルドホープの支えと共に学んできたアンジェリカさんは、自分たちをただ傍観し、何もしない大人たちとは違って、チャイルドホープは、自分たちが、より良い生活を送れるようになるために助けてくれる団体だと知っています。

昨年、アンジェリカさんは代替教育プログラム(日本の高卒認定試験のようなもの)に参加しました。大学には進学せずに、仕事を探そうと考えています。今までの人生における最大の誇りはチャイルドホープの「飲食サービス」コースを修了し、実地で経験を積んだということなのです。

ACC21とチャイルドホープはこの秋、アンジェリカさんのような修了生約70人を対象に調査を行うこととしました。調査では、研修の成果は出ているのか、コロナ禍の今どのような生活を送っているのかを明らかにします。そのうえで、修了生への必要なフォローアップ(追加支援)の方法を検討し、今後の研修に向けた改善策をまとめていきます。
(報告:事業担当 辻本紀子)


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【出典】コロナの感染者数に関する情報(2021/7/5時点のデータ)/現地のワクチンに関する報道