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貯蓄・融資活動で生活に希望を【カンボジア】

2013年4月19日 Share

2010年以降、6%を超える高い成長率で経済成長を続けるカンボジア。しかし、農村地域では、不安定な食料供給、栄養不良、低い教育レベルなどの問題を多く抱えています。

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ルビア村のグループの中心メンバーたち。活動の評判は口コミで他の村人にも広まり、参加を希望する村人が増えているそうだ

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現金収入源のひとつ。コメを干してつぶしたもので、一缶1,000リエル(約20円)で販売する

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干したコメをつぶしているところ

現地NGO・FLD(農民の生計向上団体)は、4つの州(コンポンスプー、プレアビヒア、オッダールミーンチェイ、シエムリアップ)の農村80村で、2007年度から貯蓄と融資提供を行う農民グループを組織し、農民が生計向上に取り組めるよう支援しています。メンバーの貯蓄を元手に融資を提供するこの活動は、利子がグループ内に蓄積されるため、グループの中でお金が循環するという利点があります。今回、コンポンスプーを除く3州を訪問し、グループのメンバーから話を伺いました。

■結成3ヶ月の新しいグループ『生活が苦しくても貯蓄したい』

シエムリアップ州のルビア村では、2012年9月に新しいグループが設立されました。メンバーは21人(うち女性17人)で、12月初旬までに31万リエル(約6,500円)をグループ基金に預金し、それをもとにメンバー4人が融資を受けていました。

預金額はまだ小さいものの、若いリーダーが中心になっていて、グループには活気がありました。しかし、訪問時には、メンバーの多くは水田が洪水でほぼ破壊され、コメを収穫できない事態に陥っていました。そのうちの一人は、「洪水でせっかく育てていたコメが全て収穫できなくなりました。今は現金収入を得るために、他の田畑で農作業を手伝ったり、建設作業をしています。洪水や干ばつが頻発していますが、灌がい施設や井戸がないので、被害を防ぐ手立てがありません」と話します。

日々の生活が苦しい中で、なぜ貯蓄を続けるのかメンバーに尋ねると「私たちは担保になるような財産を持っておらず、マイクロファイナンス(小規模融資)機関からお金を借りることが難しいです。また、マイクロファイナンス機関からお金を借りられたとしても、利子を機関に払わなければいけません。グループの貯蓄活動に参加すれば、グループ基金のローンを利用できるようになりますし、利子はグループ内に蓄積されます。ローンを利用できるようになったら、農作物の種や井戸などに投資して、収入を増やしたいと思っています」と力強く答えてくれました。
地道に貯蓄活動を継続し、実際に生計を向上させることは容易ではありませんが、今後も強い意志を持ち、前向きに取り組んでほしいと感じました。


■4年間のグループ活動でもたらされた変化

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自信に満ちた笑顔がまぶしいドムナーク村の女性たち

一方、プレアビヒア州のドムナーク村には、2009年8月から活動を続けるベテランのグループがあります。訪問してまず驚いたのは、メンバーの活発な話ぶりと大きな笑い声。24人の女性で活動を開始したこのグループは、メンバー数43人(すべて女性)、預金額は合計で815万リエル(約17万円)に達し、活動を広げていました。

カンボジアの農村では、男性優位の風潮が残っており、女性は自分の意見を言ったり、リーダーになることに慣れていません。このグループでも、「活動開始当初は発言してもらうのに苦労した」とFLDスタッフは振り返ります。

しかし、活動を続けていくうちに、皆の前でも臆せず話せるようになったそうです。そんなメンバーたちに、活動に参加してよかったことを伺うと、「グループから融資を受けたことで養鶏や養豚にチャレンジでき、収入が増えた」「子どもを学校に行かせることができた」「グループに連帯感が生まれ、メンバー同士が助け合うようになった」などの意見が次々と挙がりました。収入の向上だけでなく、子どもの教育や近所の人たちとの団結力の向上など、家族を第一に考える女性たちが活動をどのように活かしているかがわかりました。 また、彼女たちが挙げた生活や地域の変化だけでなく、自信や積極的な姿勢など、自身の内面的な変化も本事業の大きな成果だと思います。

現在、グループ基金への融資返済利子による収入でグループ活動や基金の運営管理費をカバーし、自立度を高めているこのグループ。これからも活動を継続・拡大し、多くの人々の生活と内面に変化をもたらしていくことが期待されます。

<報告:辻本紀子(ACC21スタッフ、ACTアシスタント・プログラム・オフィサー)>