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スンバワ島で奨学生の家庭訪問【インドネシア】

■2015年12月22日
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畜産学部3年のデシさんのご家族。お母さん(左)は2年間中東に出稼ぎに行っていた

 ACC21が事務局をつとめる公益信託アジア・コミュニティ・トラスト(ACT)では、バリ島の近くにあるロンボク島にキャンパスがある国立マタラム大学と2013年度から連携し、大学で学んだ農業や畜産、医療技術を故郷・スンバワ島の発展のために活かしたいという意志をもつ、貧困家庭出身の学生の奨学支援を行っています。ACT特別基金「髙橋千紗 インドネシア教育支援基金」は、スンバワ島東部のビマで病死された御祖父様、高校教師であった叔母様を想い、ご姉弟が設定されました(同基金の詳細は「ACT年次報告2011」p.21参照)。


 今年は、同大国際局スタッフのミラさん、ムルディさんとともに、学生たちの故郷である隣のスンバワ島に行き、各家庭を訪問しました。スンバワ島の人口はわずか100万人ですが、1815年に史上最大の噴火で9万人以上が死亡したとされるタンボラ山を擁する、四国よりも一回り小さいぐらいの、かなり大きな島です。丁寧にまわろうとすれば1週間は必要ですが、9月下旬のイスラム祭日を控えていたので、ドライバーであるスクリさんの素晴らしいテクニックのおかげもあり、3日間で西端と東端の間を往復し、1期生(3年生)3人と2期生(2年生)5人の家庭を訪問することができました。

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エルリナさんのお父さん(中央左)、お母さん(中央)、弟さん(右)。お父さんは勤務中の大けがで車いすの生活に

ちょうど1年前のFacebookでもご紹介した1期生のデシさん(畜産学部3年生)の実家は、一面牧草が広がる田園風景の中にありました。温かく迎えてくれた40代のお母さんは、経済的事情でやむなく、デシさんが4年生だったときから2年間、サウジアラビアに出稼ぎをし、貯めた資金で家を建て、今はお米とトウモロコシ栽培で生計をたてているそうです。「試験前には娘が電話してくるので励ましています」といい、砂金採りの作業から戻ってきたお父さん、妹さん(15歳)ともお会いしました。努力家のデシさんはメキメキと実力をつけ、直近の学期末試験では奨学生の中で2番目の成績をあげています。


2期生のエルリナさん(畜産学部2年生)の実家は、島の中間地点にあるドンプ県にあります。私たちが到着すると、ご近所さん約20人(!)で、温かく出迎えてくださいました。ベッドがひとつある一間と台所のコンパクトな平屋建てに、ご両親、弟さん2人が暮らしていました。小学校の用務員をしていたお父さんは、伐採作業中に背中に大けがを負い半身不随となってしまいました。お母さんが日雇いの仕事をしていますが、常時仕事があるわけではなく、大変苦しい生活のようです。「娘は真面目によく勉強していました。大学に行かせる経済的余裕がなかったのですが、大学進学に対する娘の意志が強かったので、親戚で入学金と授業料、生活費などを出してくれました」とお母さん。苦しい生活の中でも、ご近所さんや親せきとの固い絆を感じました。 


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イルリアナさん(農学部2年生)のご両親。「娘は我慢強くよく家事を手伝ってくれました。末っ子なので外に出すのはつらかったです。勉強に専念して無事卒業してほしいです」

ここでは紹介しきれませんが、どの家庭でも温かく迎えてくださり、ご家族から子どもにかける願い、思いなどについてお聴きすることができました。同行したマタラム大スタッフも「大学には奨学金プログラムがいくつかありますが、家庭訪問をしたのは初めてでした。実際に行って話さないと分からないことってたくさんありますね。このような機会をいただけて、私たちの方こそ感謝します」と喜ばれていました。 

ロンボク島に戻ってから再会した学生たちは、私たちが実家まで行って家族と話してくれたことをとても喜んでくれ、よりオープンに話すようになっていました。今年も1年生の受給者が間もなく決定します。


■報告:鈴木真里(ACC21事務局長/ACTチーフ・プログラム・オフィサー)


■関係リンク
「ACT年次報告2011」(高橋基金の紹介)
第1期生の紹介記事
デシさん(2014年12月のFacebook記事)