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ブレイクダンスが僕の人生を変えた【カンボジア】

2017年4月5日 

世界で最も若年人口の多い国のひとつ・カンボジア。しかし、5~14歳の子どもの39%が児童労働にかかわり、3人に1人しか小学校以上の教育を受けていません。さらに、2万人の若者が路上で生活・労働をしていると推定されています。

現地NGO・タイニー・トゥーンズは、首都プノンペンのスラムで貧困家庭の子どもを保護し、教育する"ドロップイン・センター"を運営しています。ドロップイン・センターを訪れ、学ぶ子どもたちは年間1,300人以上に及びます。
タイニー・トゥーンズのドロップイン・センターで働いているスタッフの大半は、このセンターで学んだことのある"元生徒"で、子どもたちにとってはお兄さんやお姉さんのような存在です。そのうちのひとり、ピャクトラさんにお話を伺いました。

タイニー・トゥーンズのドロップイン・センターでブレイクダンスを習う子どもたち

■勉強を家庭の事情で断念、その後ギャングに...

ピャクトラさん(25歳、インタビュー当時)は、ドロップイン・センターが開所した当初からセンターに通っていました。ピャクトラさんはプノンペンの隣にあるカンダール州の出身で両親と姉妹3人と暮らしていました。中学3年生まで学校に通っていましたが、父親が交通事故の後遺症によって仕事を続けられなくなり、学校を中退せざるを得ませんでした。

勉強を続けたかったピャクトラさんは実家を出て、プノンペンの教会が主宰する無料の英語クラスに通うことにしました。しかし、そのうちにギャングに加わって薬物に手を出したり、強盗などの罪を犯すようになり、家族の信頼をなくしてしまいました。

■"ケイケイ兄"との出会い

そんなある日、教会でブレイクダンスをする人を見かけました。ブレイクダンサーにずっと憧れていたピャクトラさんは思わず声をかけ、その人がタイニー・トゥーンズの代表であるトゥイさんを紹介してくれました。

ピャクトラさんは、"ケイケイ兄"というニックネームで親しまれるトゥイさんのもとでブレイクダンスを習いました。そのうちに、トゥイさんの助言で、ギャングから抜けて熱心に勉強し、さまざまなダンス大会に出場するようになりました。一度は家族からの信頼を失ってしまいましたが、ピャクトラさんは家族に活躍する姿を見せられるようになり、人生は大きく変わりました。

ブレイクダンスをするピャクトラさん

■センターの先生となって、子どもたちの相談相手に

ピャクトラさんはその後、センターで先生として子どもたちにヒップホップやブレイクダンスなどを教えるようになりました。そして、教え子たちが同じ過ちを犯さないように、子どもたちの相談相手となり、親身にアドバイスをしています。

センターで子どもたちの相談にのるピャクトラさん

<報告:アンガラ・グラディス(ACC21スタッフ、ACTアソシエート・プログラム・オフィサー)、訪問:2015年12月>