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教育支援のお手伝い 【東北ボランティア#2012 S7】

■2012年10月31日

2012年度の派遣第9回として、2012年9月28日~10月1日に、12人が被災地でのボランティア活動に参加しました。このうち、9人(ベトナム3人、中国3人、マレーシア1人、インド1人、カンボジア1人)が宮城県石巻市の狐崎漁港で漁業の復興支援活動(協力:(特活)JEN)に、3人 (フィリピン2人、ベトナム1人)は、岩手県大槌町で子どもの教育支援活動(協力:(特活)NPOカタリバ (以下、カタリバ))に参加しました。 本レポートでは、岩手県大槌町で実施した子どもの教育支援活動についてご報告します。


■被災地を巡る

29日の朝6時30分に釜石市に到着すると、まずはカタリバ職員の阿部さんと川井さんに釜石市と大槌町の被災地を案内していただきました。被災地を目の当たりにし、被害の状況や被災者の方々の震災当日の話などを聞いた留学生たちは、まるで自分のことのように悲しげな表情を浮かべていました。大槌町に今までの約2倍の高さ(15m)の防波堤が建設される計画があるという話を聞いた留学生は、「15mもの防波堤が建設されると、海は見えなくなり、町の風景が変わってしまう。本当の意味での復興や人々の暮らしに繋がるのでしょうか」と、疑問を口にしていました。防災と地域再生の両立の難しさを改めて感じたようです。


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(写真上) カタリバの阿部さん(左奥)から被災地について説明を受ける留学生たち(右手前からサンディーさん、エスペランザさん、ゴンさん)
(写真左下) 津波で駅舎などが流されてしまった大槌駅
(写真右下) 震災当時の状況や今後の復興の計画などについて積極的に質問し、意見交換していた留学生たち



■教育支援を通じて子どもたちと交流
土曜日の午後には、カタリバが運営する「大槌臨学舎」 の授業に参加しました。この「大槌臨学舎」では、月曜日から金曜日の夜(16時~19時)と土曜日の午後(13時~19時)に、中学2年生から高校3年生を対象に学習指導を行っています。
まず初めに参加したのは中学生の授業でした。日本の「少年法」について資料を読み込み、そのテーマについて話し合うという内容でした。留学生たちは、難易度が高い日本語が飛び交う授業内容を理解しようと、中学生たちの話し合いを真剣に聴いていました。 
  次に 、高校生が英語で大槌町を案内するというツアープログラムに参加し、高校生たちと交流しました。馴れない英語で一生懸命に被災の状況などを説明する高校生の姿に、留学生たちは感心していました。 
最後は、中学生を対象に、自分たちの出身国(フィリピン、ベトナム)の文化や地理について日本語で紹介をした後、英語のレッスンを行いました。留学生たちは、自国についての発表内容を事前に準備してきていました。慣れない日本語での発表でしたが、普段あまり知ることのない外国の話に 、中学生たちは聴き入っていました。
サンディーさんは、2012年8月上旬に出身国フィリピンの首都マニラを襲った洪水について触れ、「フィリピン人はどんな状況に置かれても他人を想い、笑顔でいることの大切さを忘れない人々」と話しました。それを聞いた中学生たちは彼女の言葉に感動し、目を輝かせていました。 英語のレッスンでは、自己紹介や趣味などについて質問形式で会話を進める練習をしました。初めはぎこちなかった会話も、しだいにお互いの緊張が解け、笑顔が溢れる和気あいあいとした授業となりました。

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(写真左)   高校生(写真左)から英語で大槌町の被災状況について説明を受ける留学生たち
(写真中央)  出身国のベトナムを紹介するゴンさん
(写真右)  エスペランサさん(左奥)は、フィリピンで教師をした経験もあるそうです

■市営住宅建設予定地での草刈り作業
2日目の日曜日は、「大槌臨学舎」 がお休みのため、大槌町のボランティア・センターのご協力で、雑草の草刈り作業を行い、他県からグループで来ていたボランティアの方々と言葉を交わし、楽しみながら取り組んでいました。留学生たちは、「自分たちが作業した土地がどのように使われるのかを想像しながら作業でき、有意義な活動でした」と感想を述べていました。

教育をテーマに行った今回のボランティア。留学生にとっても、中高生にとっても日常とは少し離れた時間を過ごすことができ、お互いの心の琴線に触れた、大切な思い出となる時間を過ごせたのではないでしょうか。

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(写真左)   草刈りボランティアに参加した皆さんとの集合写真
(写真右上)  作業中のサンディーさん
(写真右下)  作業に没頭する留学生たち

(文中の留学生の名前はすべてニックネーム)

<報告:坂下裕基>