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2016年1月13日  

次世代を担うアジアの社会起業家へ
第2次アジアNGOリーダー塾 NGO事業スタートアップ支援プロジェクト 第2回

私のNGO事業プラン発表会の開催~フィリピン編~


【日時】2015 年12 月12日(土)10:00~12:20
【会場】アジア文化会館地下1階101教室

DSC_0522.jpg ACC21は(一財)MRAハウスと共催で、アジアNGOリーダー塾の修了生を対象とし、アジアの人々と共に活動するNGOや社会的企業(事業)の立ち上げを支援する「NGO事業スタートアップ支援プロジェクト」を実施しています。

今回、「私のNGO事業プラン発表会(フィリピン編)」を開催し、総勢20名の参加者と共に、アジアNGOリーダー塾修了生の2名がフィリピンにおいて実施中・調整中の活動状況と今後の展望を発表いたしました。

冒頭、運営委員代表の伊藤委員より、アジアNGOリーダー塾(ANLP)の概要と、近年の元塾生の活動状況の説明があり、本日発表する元塾生のNGO事業プランが達成できるような応援のネットワークづくり、環境づくりの場になることを願っているとの趣旨説明が加えられました。また、コメンテーターとしてご参加いただいた、フィリピン大使館観光アタッシェGwendolyn S. BatoonさんやANLP運営委員の堀内光子先生はじめとする参加者から自己紹介があり、Batoonさんからは、日本のNGOモデルがあればぜひそれをフィリピンにも適用してほしい、また、観光においても単に学校などを訪問するのではなく、日本とフィリピン両国のコミュニティ間での相互交流に注目が高まりつつあること、そして2016年は日比友好60周年でもあるため、ぜひ何か始めましょうと積極的な意見が出されました。参加者には元塾生だけでなく、フィリピン留学生協会の代表やフィリピン出身の大学関係者でNGOをフィリピンに立ち上げた方もいたりと、多様な顔ぶれとなりました。

―元塾生による事業構想の発表と関係者によるコメント・意見交換―

(1)マニラ旧市街地における都市公園を活用した持続可能な都市コミュニティづくり支援事業
 (発表者:角間 裕 5期生)

都市計画を専門とする角間元塾生は、マニラの有名な観光地イントラムロス(スペイン統治時代に作られた壁に囲まれた街)でのコミュニティ公園づくりを提案しています。地域住民と行政が協働して、住民の憩いの場とし、住民自身が管理する、開かれた美しい公園作りを行い、地域の活性化と街の持続発展に寄与することを目指しています。これまで数回、フィリピンを訪問し、今年(2015年)3月にはイントラムロス行政区の長官に面会する機会があり、現在、長官が指名した担当者と連絡を取り合っているとのことです。

今回の発表では、発展の光と影、多様性があるイントラムロスにおいて、持続可能な都市(街)の発展のための地域コミュニティの重要性と、そのツールとしての都市公園の有効性、具体的手法を説明しました。また発表の最後には第2次世界大戦中における日本軍のイントラムロスへの関わりなどの歴史についても言及し、そこを未来志向に代えられる場所にしたいと意気込みを語りました。

この発表についてまずBatoon観光アタッシェから、イントラムロス行政区は保全、観光開発にのみ従事しており、イントラムロス自体の管理、運営はマニラ市が行っている。よって、マニラ市が動かなければ事業は前に進められない。また最大の問題は不法占拠地域の存在であり、フィリピン最大のNGO団体でも不法占拠地域における事業を進めることは難しかったと指摘がありました。しかし、公園は美化だけでなく、安全性の問題解決にもつながるため、素晴らしい政治リーダーがいれば必ずできるだろうと角間元塾生を励まされました。

またANLPの堀内運営委員からは、不法占拠地域の問題、文化、歴史的背景、遺跡の保存を念頭に置いた事業計画を目指す必要があるだろうとの意見が出され、これに対し、角間元塾生からは、不法占拠の問題がないところからモデル事業を進め、また、場所によっては保存ではなく修復が必要な部分もあるため、保存と活用をセットで考えたいと説明がありました。

最後に伊藤運営委員からは、将来は日本とフィリピンの地方行政同士の交流と協力へ、さらにはODAの活用に繋がる可能性を秘めている事業ではないかとのコメントがありました。


(2)「宇宙をベースにしたフィリピン小学生への科学教育の実践から(WeCoS:We're Children of Space)」
  (発表者:岩崎信夫 5期生)
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長年、宇宙開発事業に携わってきた岩崎元塾生は、身近なモノを使った実験を通じて、フィリピンの子どもたちに宇宙への夢を持たせ、科学教育の普及にも活かそうと、ロケットや宇宙をテーマしたワークショップ形式の教育活動を現地NGOの協力を得て昨年(2014年)5月から始めています。

今回の発表では、本事業をスタートさせた動機や経緯、ビジョンを振り返りながら、これまで開催してきたワークショップの内容や問題点、今後の展望について説明がありました。この中でも、前回行ったアンケートの結果によると、過去2年間に行った4回のワークショップに全て参加した子どもの数は限られ、2地域のうち1地域は30名中43%が、他の地域では27名中7%の子どもしか参加していなかったことに課題を見出したと結果報告がなされました。最後に、DVDに収めたワークショップの実施風景が紹介されました。

まず伊藤運営委員からは、岩崎元塾生が計画するように、4回のワークショップが一つの単位になっていて同じ子どもが全回参加することを望むなら、その実現のために現地NGOの協力を強く求める必要があること、また、現在は個人の資金を使ってボランティア活動を行っている形だが、フィリピンでのこの教育活動を根づかせるためにも現地側に主体的に取り組む体制を確立する必要があるのではないか、とのアドバイスがありました。同様に堀内運営委員からも、当該事業に関する今後の制度設計の構築について助言がありました。Batoon観光アタッシェからは、フィリピン政府も科学教育に力を入れ始め、在日フィリピン大使館でも科学アタッシェが近々配置される予定があり、またフィリピン初の宇宙飛行士を目指す候補者も選ばれたばかりとのことで、最適な時期にあると話があった。

このほかにも、フィリピンでの体育教育の普及を目指すANLP現塾生からは、自分も一緒に参加し、手伝うことができればよいとの提案があり、また、現地での事業継続のために、フィリピンの富裕層に紹介、資金的支援を受けるようにしてはどうかとの提案もありました。

以上のように、現場の実態も紹介され、非常に実践的な発表会を開催することができました。

そして閉会に際し、伊藤運営委員からは、今回の発表会をきっかけに、今日発表した元塾生2人の事業構想が日比友好60周年記念事業の一環として認められるよう、そのための準備委員会を立ち上げてはどうかとの提案もあり、今後の事業の発展につながる発表会となりました。
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なお、アジアNGOリーダー塾では今後もNGO事業発表会を開催する予定です。詳細が決まり次第、改めてお知らせいたしますので、ぜひご参加ください。


★前回のNGO事業スタートアップ支援プロジェクトの開催報告(10月11日開催)
 http://acc21.org/news/ngo2015-1.html

アジアNGOリーダー塾とは
「アジアNGOリーダー塾」は、日本が深いつながりを持つアジアの中で、国境を越えて社会変革をめざす「21世紀を担うNGO起業家」の発掘・支援を目的に2009年度に開講された人材育成塾。2009~2013年度までを「第1次」として、講義と海外研修などを含む約9ヶ月間のカリキュラムを実施し、約40名が参加した。2014年度から「第2次」として、学術者やNGOの活動家、起業家などをリソースパーソンとともに学ぶ「課題別ゼミナール」とアジアの現地NGOでのインターンシップ(長期・短期)を中心に運営をしております。

NGO事業スタートアップ支援プロジェクト
「アジアNGOリーダー塾」の修了生を対象として、修了生のもつ構想を実現するためのスタートアップを支援。修了生による準備状況などの報告会や学習会、個別カウンセリング・サービスなどを行っている。