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2014年4月3日  

【報告】第5期「アジアNGOリーダー塾」成果発表


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  3月15日(土)、「アジアNGOリーダー塾」5期生の成果発表会が開催されました。昨年7月よりスタートした第5期リーダー塾ですが、本年3月までの9か月間に塾で学んだことや海外研修等で経験したことを基礎に、立ち上げたいNGO事業の構想が塾生たちより発表されました。会場には、本リーダー塾運営委員を始め、NGO活動に関心を持つ社会人や学生、元塾生たちが集まり、活気ある成果発表会となりました。
  初めに、アジアNGOリーダー塾運営委員代表の伊藤道雄(ACC21代表理事)より開会の挨拶がありました。本リーダー塾は、日本が深いつながりを持つアジアの中で、国境を越えて社会変革を目指す「21世紀を担うNGO起業家」の発掘・支援が目的であるという塾の趣旨が改めて確認されました。そして今回は、2009年度から5か年計画として始まった「リーダー塾」の最後の年となり、その締めくくりとして相応しい発表会であってほしいとの期待が述べられました。

―塾生による成果発表―


  本年は塾生9人、準塾生3人のうち、塾生6名が立ち上げたいNGO事業の構想を紹介しました。発表時間20分、会場との質疑応答5分という短時間でしたが、それぞれは、事業のビジョン、ミッション、活動内容、組織形態等について熱い思いを込めて会場の参加者に語りかけました。


「"宇宙少年団フィリピン"の立ち上げ」  (岩崎信夫塾生)

iwasaki pres crop.jpg   岩崎塾生は宇宙開発機構の部長職を経た元職員で、塾生の間では最年長。しかし、誰にも負けない夢と行動力を持ち、フィリピンの貧しい子どもたちに科学に対する興味を持ってもらおうと、宇宙少年団をフィリピンに立ち上げることを計画。日本でも、宇宙少年団手賀沼カッパ分団をつくり、活動を継続中。とくに、科学教育が遅れているフィリピンで、子どもの科学教育の基礎作りを手伝い、同国の経済発展の基礎づくりの一助になりたいとの考えです。第一段階では、現地NGO等と協力しながら、小学生に宇宙に関する工作や実験の指導(現地化したときは月1回開催を目標)をすることにより、子どもたちの心に宇宙への関心を呼び起す"火"を付けたいとのこと。最終的には、今後9年内に50を超える宇宙少年団の発足を目標にしています。岩崎塾生は、成果発表会直前の3月上旬にフィリピンを訪問し、協力先を見つけ、今年5月末には再びフィリピンへ戻り、現地NGOの協力を得て、小学生のための科学教室を開く予定です。

「『塾』で得たこととNPO法人芸術家の村の活動について」  (柚木理雄塾生)

yunoki pres crop.jpg   柚木塾生は国家公務員。国家公務員である傍ら、"生きがいを感じることができる社会"を目指して勤務後の時間や週末を利用して社会活動に取り組んでいます。これまでの活動の経験を基礎に、「人」「場」「金」をキーワードに新しいソーシャルビジネスを生みだす仕組みを描いています。「場」としてSocial Business Labを開設し、とことん取組むための入居スペースと社会活動家が集まるための貸しスペース運営を行っています。他にも、人と人をつなぐLink Project(「人」)、また5月からはリーダー塾生とも共同で、月に一度1万円を持ち寄るメンバーが10人集まり、計10万円を選んだプロジェクトに寄付(社会投資)を行うことで日本の文化に"風穴"を開けることを目指すSocial Investing Farm「(金)」を実施します。「人」「場」「金」によって活動を持続可能にする仕組みを作りながら、東京都中野区川島商店街での東京行灯祭や、三保の松原の魅力を伝えるプロジェクトなど新しい取組みを実施していることが報告されました。

「子どもたちの希望があふれる世界をめざして ~HopelessnessからHopefulnessへ~」  (寺村眞一塾生)

teramura pres crop.jpg   寺村塾生はこれからの人生をアジア、特にミャンマーをフィールドにして、厳しい生活状況に置かれている子どもたちと共に歩みたいと考えている元小学校教諭です。塾への参加と平行してミャンマーへ足を運んだり、塾の研修期間中にはタイとミャンマーの国境へも足を運ぶなど、現地とのつながり、現地からの声を大切にして事業計画を練ってきました。
  事業計画には、(タイ側にある)ミャンマー移民学校の図書室整備や、教育の助言活動、日本との文化交流の促進が盛り込まれています。資金計画では、会員制度も導入し、またネットを広げるため名古屋市にあるネットワークNGOへの加盟、社会的信用を勝ち取るため法人挌取得の計画も入っています。会場からは、継続的な資金確保の見通し等について質問がありましたが、寺村塾生は、本リーダー塾で学んだことを活かして、できるところから一歩ずつ実践していきたいとの考えを示しました。

horiuchi sensei crop.jpg   ここで堀内光子運営委員から3名の塾生の発表に対する講評がありました。それぞれ塾生のバックグラウンドを念頭に置いた堀内委員の具体的な指摘に対し、塾生は熱心に耳を傾け、事業計画に更なる改善を図ろうとする姿が見られました。その後、休憩時間を挟んで、後半3名の塾生発表に移りました。


「NGO『文化の力』立ち上げの構想」  (施恩塾生)

shien pres crop.jpg   日本の私立大学の留学生である施恩(シオン)塾生は、中国の人々の間に道徳観が薄れ、いろいろな社会問題が多発し、深刻化していることに大きな問題意識を持っています。交通規則を守らない、定員数を超えて走るスクールバスによる事故の多発、高齢者が見捨てられる新しい社会状況の出現など、中国では急速な経済発展の裏側で人々の道徳観が薄れています。施恩塾生は、この状況に取り組むNGOを故郷の上海で立ち上げ、その改善・解決に寄与するため、道徳意識を高める活動を始めたいとの強い願いを持っています。
  事業計画では、ニーズ調査・分析、マナーキャンペーン、相互理解事業やボランティアのスキルアップ育成事業などを計画する一方、その活動を支える組織の在り方などにも強い関心を持ち、会員制度を含めた資金管理、広報体制、数年先のあるべき団体の姿についても言及しました。中国出身ということもあり、参加者からの質問は日本との関係についても及びました。会場からは、両国を結ぶ今後の施恩塾生の活動にも期待が寄せられました。

「しいたけハウス(仮称)の構想
     ~すべての子どもが教育を受けられる環境とシステムをつくるために~」
  (樋木真由子塾生)

hiki pres crop.jpg   "I want to go to school"カンボジアで出会った少女のこの言葉が樋木塾生のしいたけハウス構想の出発点です。すべての子どもが教育を受けられる環境とシステムづくりを行いたいという目的を達成するために、世界を旅するバックパッカーの宿泊先提供と途上国の子どもたちへの教育を組み合わせた内容となっています。具体的には、学校・孤児院にゲストハウスを併設し、バックパッカーがゲストハウスに支払うお金の一部を施設の運営費に充て、さらに宿泊するバックパッカーが先生となり、子どもたちに英語や算数を教えるというものです。
  また、現在直面している課題とその解決策についての考えも示されました。例えば、施設については、既存のものを利用し、地元コミュニティとの連携を密にし、地元の人たちの参加意識を高めていくことを考えているとのこと。さらに、事業を持続的に運営できるようにするために、寄付や助成金のほかに、旅行会社とも連携し、安定した収入の確保を図っていくこと。一方、教育活動に携わるバックパッカーには、ドリルのような教材の開発を考えているとのことでした。

「都市公園を活用した地域コミュニティの育成&強化 ~持続可能な都市の発展を目指して~」  (角間裕塾生)

kakuma pres crop.jpg   角間塾生は地方公務員として都市計画に携わる経験と、JICAシニア海外ボランティアとしてドミニカ共和国で活動してきた経験を背景に、急速に発展しつつある途上国、特にフィリピンやマレーシアの都市部住宅地域で地域住民の"居間"になるような公園づくりを構想しています。フィリピン研修の際も、自ら訪問先を開拓し現地調査を行った行動派の塾生です。
  具体的には、都市公園などのオープンスペースの整備、活用、維持管理などを住民と協働して行うことで、地域コミュニティの育成・強化をお手伝いし、途上国都市部の持続的発展に寄与する活動を計画しています。彼の計画では、多国籍企業による上からのグローバリゼーションだけでなく、世界的視野を持ちながら地域で行動を起こす地元企業や個人による下からのグローバリゼーションの重要性に着目し、目指すところは、国境を超えた地域コミュニティ間の連携・協力です。「アジアNGOリーダー塾」では、何を、何故やりたいか、またその際の自分の原動力は何なのかをはっきりさせる事ができたことが一番の学びであり、それは温かい気持ちがわいてくるという意味では"温泉"を掘り当てたようなものだ、と感想が語られました。

hironosensei crop.jpg  それぞれ発表の後には質疑応答の時間が設けられ、会場からは熱心な質問やコメントが寄せられました。塾生の発表が終了した後、廣野良吉運営委員から全体の講評がありました。プレゼンテーションの仕方や目標設定の仕方について厳しい指摘があった一方、それぞれが事業計画を進めるにあたっては、地域の人との強いパートナーシップが非常に重要であり、描いた理想と現実をしっかり見極め、できるところから進めてほしいとの要望が出されました。また多くの塾生が懸念していた資金集めについては、良いプロジェクトであればそんなに大きな問題にはならないだろうとの見通しを示しました。最後に"TAPES"(Transparency, Accountability, Policy, Equity, Sustainability)という言葉を紹介し、市民一人一人がオーナーシップを持てるような社会をめざし、NGO活動を進めてほしいと、講評を締めくくりました。

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伊藤運営委員
毛原運営委員
  また伊藤運営委員からは、多くの塾生が仕事を持ちながら9カ月間にも及ぶ研修に参加し、仲間とともに議論し互いに学び合ってきたその努力に敬意が表され、現段階では完璧な計画でなくとも、やりたいと考えた事業と目標にこだわり、しぶとくこれからも努力を続けていってほしい、そうすれば、必ずや達成できるだろうとのエールが送られました。
 続いて、2014年度の第2次5か年計画「アジアNGOリーダー塾」構想の骨子が発表されました。これまでのリーダー塾とは形を変え、大きく2つの要素(事業)から構成されます。まずは、20代の若者が長期にわたりアジアの中核的NGOに派遣され、リーダーの下でインターン経験を積む事業。第2に、具体的行動を起こそうとする元リーダー塾塾生らを中心としたグループを形成し、自らの共同学習を進めるのを支援し、そしてその中から1~2人に対し海外研修等のため奨励金を提供する事業。詳細は、4月に発表されるとのこと。
  最後に毛原清運営委員からは、密度の濃いプログラムに積極的に参加していただいた、他の運営委員の厳しい指摘もあったが、塾生の発表内容には総じて感銘を受けた、今後の活動と発展を期待しています、と閉会の言葉が述べられました。
 報告会終了後には、修了証書授与式と懇親会が開かれました。塾生は、互いに切磋琢磨しあえる仲間との出会いに感謝し、今後の活躍を誓い合いました。

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岩崎塾生
角間塾生
施恩(シオン)塾生
寺村塾生
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濱田塾生
樋木塾生
呉雪峰(ムルン)塾生
柚木塾生

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「アジアNGOリーダー塾」運営委員と事務局(前列)と第5期塾生(後列)