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2016年8月8日  

次世代を担うアジアの社会起業家へ
第2次アジアNGOリーダー塾
アジア域内のNGOでのインターンシップ報告会 開催報告

日時:2016年4月3日(日)14:00~17:00
場所:アジア文化会館地下1階 101教室
2015年度の「第2次アジアNGOリーダー塾」の塾生で、インターンシップに参加した4名から、インターンシップでの経験やアジアNGOリーダー塾での学び、将来の計画と抱負について発表しました。報告会には、約30人(運営委員、元塾生、財団関係者、学生など)が参加し、活発な質疑が行われました。

―塾生による報告―
<発表者と派遣先、テーマ>  *発表者名をクリックすると、該当箇所にジャンプします。

(1) 池田 耕一

派遣先:カンボジア

テーマ:カンボジア農村が持つ可能性とNGOの関わり-持続可能な未来を目指して-
(2) 赤木 亮太

派遣先:カンボジア

テーマ:体育教育の普及、子どもたちの成長のためにNGOであるから出来ることと難しいこと
(3) 張 艶

派遣先:中国

テーマ:日中NGOネットワーク化するプラットフォームとしての異同
(4) Sato

派遣先:フィリピン

テーマ:フィリピンにおける貧困と子どもの問題、CSOによるアドボカシー活動




(1)池田 耕一

インターンシップでの学びを発表する池田さん(2015年3月)

【期間】 2016年1月29日~2月27日(30日間、移動日含む)
【関心・目的】 長期的・継続的な支援を通じて人々が安心して生活できるような支援を行うこと
【団体名】 Centre d'Etude et de Développement Agricole Cambodgien (CEDAC) / Cambodian Center for Study and Development in Agriculture
「カンボジア農業研究開発センター」
【実施地】 カンボジア王国、主にプノンペン市、カンダール県
【団体の活動内容】 農村開発、農民の組合組織化、マイクロファイナンスなど


<発表要旨>
【テーマ】 カンボジア農村が持つ可能性とNGOの関わり-持続可能な未来を目指して-

私は、カンボジア最貧困層の現状やNGOによる農民マネージメントを学びたい、何らかのアウトプットを現地に残したいという想いを持ち、CEDACでのインターンシップに向かいました。

現地に到着し、まず、CEDACの事業を知ることから始めました。そして、大きく2つの疑問が湧いてきました。ひとつは、同じ技術が伝えられているにも関わらず、なぜ世帯によって収量の増加率が異なるのか、もうひとつはCEDACの流通事業「CEDACショップ」が赤字経営であったことです。そこで、農民にインタビューしたり、店舗を訪問したりして、課題と対処法を考え、2つの提言を行いました。ひとつは、「農民の連携度によって訪問頻度を変えること」、もうひとつは「ファーマーズ・マーケットの設立」です。後者は、同じことを考えている人がCEDAC内にもおり、一緒に計画を練り、実際にタケオ州でマーケットが設立されました。

Koichi4.jpgCEDACは受益者の自立を念頭に置いた支援を行い、農民はCEDACからの技術支援に対し、対価を払う必要がありました。国際協力は受益者が独立することが目的で、このような方法に僕はとても共感しました。しかし、「社会貢献性」と「利益主義」のバランスは難しい課題であることも分かりました。

また、アジアNGOリーダー塾を通じて、自分の関心事である「貧困」に留まらず、広い視野を持つことが必要だと感じました。貧困に関わる問題として、「人権」、「環境」など、複雑に絡む問題があり、それをアジアNGOリーダー塾の中で学ばせてもらいました。ほかにも、同期の塾生から「一期一会を大切にすること」など、多くのことを学び、刺激を受けました。

池田さんの詳しい発表内容はこちらへ http://acc21.org/news/anlp2015-repotK.html


(2) 赤木 亮太
【期間】 2016年2月9日~3月20日(40日間、移動日含む)
【関心・目的】 体育が浸透していないとくに途上国の学校で体育の普及
【団体名】 Tiny Toones Organization
「タイニー・トゥーンズ」
【実施地】 カンボジア王国プノンペン市
【団体の活動内容】 都市貧困層の青少年支援活動。とくにダンス、歌などを通じた芸術活動、学習支援活動

<発表要旨>
【テーマ】体育教育の普及、子どもたちの成長のためにNGOであるから出来ることと難しいこと

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手を繋いで皆で立ち上がれるかを試してみるゲーム

僕は自分がスポーツから多くを学んだ経験があり、途上国で体育教育を普及していきたいという夢があります。今回、国際協力の幅広い知識を身に付けたい、将来の夢に繋がるよう、現地での経験がしたいと思い、入塾しました。現在、大学の健康スポーツ学科で学んでいます。

インターンシップ先は、ダンスを中心に、貧困家庭の子どもを対象に教育支援を行う「タイニー・トゥーンズ」にしました。その理由は、ダンスやスポーツが子どもたちにどのような影響があるかを探りたいと考えたためです。

現地では、「スポーツ・ゲーム」の授業を担当したり、先生に向けた体育教育のワークショップを行ったりしました。まず、「スポーツ・ゲーム」授業では、遊びやスポーツの選択肢を増やすことを目標にしました。みなで協力して行うスポーツや遊びを取り入れることで、違う形で協調性を身に着けることができると考え、手を繋いで皆で立ち上がれるかを試してみるゲームをしたり、ドッチボールをしたりしました。ボールを前に投げる動作は子たちには新鮮だったようで、子どもたちはとても気に入ってくれました。

先生たちは体育教育の重要性を理解していないと感じました。教えている先生は全員、体育の授業を学生時代に経験していませんでした。そこで、Tiny Toones にとって体育の授業はどのようなものがよいかを先生たちと一緒に考えたいと思い、ワークショップを4回、実施しました。僕はまだ大学2年生で体育教育のプロではないですし、先生たちと対話することを大切にしました。そして、最後に、代表、ディレクターに向けて、自分の考えを提言という形でまとめました。

写真中央が赤木さん

Tiny Toonesの授業はとてもユニークで、生徒を第一に考えたアプローチだと感じました。子ども一人ひとりと向き合うことができていて、NGOだからこそできることだと感じました。

このインターンを通して、まず、専門性を身に着ける必要があると感じました。もっと勉強して、NGOかどうかはまだわかりませんが、将来は、体育教育の普及のための組織を設立したいと考えています。

赤木さんの詳しい発表内容はこちらへ http://acc21.org/news/anlp2015-reportA.html

(3) 張 艶

【期間】 2016年2月22日~3月22日(30日間、移動日含む)
【関心・目的】 内モンゴルの農村部で学校を中心とした緑化普及教育の実施
【団体名】 China Association for NGO Cooperation (CANGO)
中国語名「国際民間組織合作促進会」
【実施地】 中華人民共和国北京市
【団体の活動内容】 中国国内で環境保全・農村社会開発に関わる民間組織120団体(2013年現在)のネットワーク


<発表要旨>
【テーマ】日中NGOネットワーク化するプラットフォームとしての異同

私は大学院で、国際関係学を学んでいます。今回は、貴重なチャンスをいただき、中国の北京のNGO「CANGO(国際民間組織合作促進会)」で1か月間、インターンをしました。仕事の内容は、主に研究活動や会議への参加などです。研究テーマとして、CANGOのスタッフの方から、「日中NGOの比較」と言われましたが、私はテーマをさらに絞り、「日中NGOネットワーク化するプラットフォームとしての異同」とし、CANGOと日本の「国際協力NGOセンター(JANIC)」を事例として比較することにしました。

現在の中国は、「一帯一路(いったいいちろ)」、英語で「one belt, one road」を提唱し、積極的に国際化を推進しています。また、1995年、第4回世界女性会議が北京で開催されて以来、「NGO」という言葉が中国社会に広く知られるようになりました。

1987年に発足したJANICと1992年に発足したCANGOは、5年の差がありますが、それぞれの発展段階には違いが見られます。CANGOは市民と市民社会の能力構築に焦点をあて、国内外の民間組織、企業、政府及び公益事業に関心がある人々との交流を深めていますが、一方で、JANICは日本の市民組織の活動の促進及び強化を目的にして、国際協力を行うNGO間のネットワーク、共同事業の推進、情報の普及などを行っています。

研究を進める中、課題もいくつか見えてきました。JANICよりCANGOは、幅広く事業を展開していますが、ネットワーク化するプラットフォームとしての作用が曖昧になってしまうのではないかという懸念を持ちました。日中のNGOの経験を共有していきたいと考えました。

今回のインターンを通して、中国のNGOがどのように機能しているのかを知ることができました。この経験をもとに、私の故郷、内モンゴルの緑化に貢献できる人になりたいと思います。

菜食の大切さを訴える活動をしているCANGOの青年たち

張さんは、故郷、内モンゴルの緑化を目指している















(4) Sato
【期間】 2016年2月13日~3月19日(36日間、移動日含む)
【関心・目的】 児童労働の実態を知った上で、フィリピンの市民セクターが公共セクターとどのように協働してこうした社会課題の解決に取り組んでいるかを学ぶ
実施団体①
【団体名】 Visayan Forum Foundation, Inc. (VF)
「ビサヤン・フォーラム」
【実施地】 フィリピン共和国ケソン市、マニラ市、ほか事業の実施地
【団体の活動内容】 人身売買被害者の保護活動など
実施団体②
【団体名】 Caucus of Development NGO Networks (CODE-NGO)
「開発NGOネットワーク連合」
【実施地】 フィリピン、マニラ首都圏
【団体の活動内容】 フィリピンのNGOのネットワークNGO。地域のNGOのネットワークや分野別のNGOのネットワークのネットワーク


<発表要旨>
【テーマ】(1)フィリピンにおける貧困と子どもの問題、(2)市民組織(CSO)によるアドボカシー活動

私は2団体でインターンシップを実施しました。前半は、特に児童労働に焦点を置きつつフィリピンの抱える社会課題の実態を学び、後半はそれらの社会課題に対して市民社会がどのようにアプローチしているのか、について考える機会を得ることができました。

Visayan Forumでは、人身売買に関する調査、人身売買被害者の保護シェルターにおける日本語・日本文化の教室の実施、全国の若者に向けて行っているアドボカシー(啓発)活動におけるスピーチなどを行いました。そして、「CODE-NGO」では、協力団体の活動に同行する形で農村部や地方都市への視察に赴いたり、政府に対する提言イベント、メンバーNGOの能力開発イベントなどに参加したりしました。

今回のインターンシップを通じて、フィリピンには数多くの市民組織(CSO)があり、限られたリソースで活動のインパクトを最大化するため、多様なセクターと協働して社会課題解決のために活動していることが分かりました。フィリピンの市民社会は成熟度が高く、国際的に問題視されている政府の統治能力強化にも積極的にコミットしており、自力で社会課題を解決していく力強さがあると感じました。その上で我々にできることは、彼らCSOや政府が社会課題を解決していく上でのサポートをしていくこと、例えば、金銭面やアイデア面での協力ではないかと考えました。また、このインターンシップを通じて社会課題を解決するアプローチを多様な側面から考察する機会に恵まれましたが、「自発的、持続的開発モデル」という開発援助の先陣が導き出した解の意味を実感を伴って学ぶことができました。

そして、もうひとつ、重要な視点として、日本の社会課題もフィリピンの社会課題とリンクしている、ということを認識せねばならないと感じました。例えば人身売買に関して、日本は人身売買加害国として国際的に非難されており、フィリピンで人身売買被害がなくならない一因を作っています。それ故に、人身売買を根絶するためのアドボカシー活動は日本においても必要なのです。

これからの私のアクションとしては、人身売買の加害者を減らす活動、ユース世代のネットワークづくり、この2点に焦点を置いていきたいと考えています。学んだ者の責任として、自分にできることからフィリピンに恩返しをしていければと思います。

ビサヤン・フォーラムが行う、高校生、大学生を対象とした人身売買についての啓発活動

CODE-NGOでは、多様なセクターが集まるフォーラムや討論会に参加した



【参考】 アジアNGOリーダー塾とは、日本が深いつながりを持つアジアの中で、国境を超えて社会変革をめざす「21世紀を担うNGO起業家」の発掘・支援を目的に、2009年度に開講た人材育成塾です。
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