ニュース

アジアNGOリーダー塾
アジアのNGOでのインターンシップ報告


2016年4月3日(日)、アジアNGOリーダー塾では、「アジアのNGOでのインターンシップ報告会」を開催しました。当日は、4名の塾生が発表しましたが、池田塾生の発表内容をここに掲載いたします。

「カンボジア農村が持つ可能性とNGOの関わり-持続可能な未来を目指して-」
発表者:池田 耕一 (早稲田大学3年生(当時))


koichi_happyoukai.jpgインターンシップ先:Centre d'Etude et de Développement Agricole Cambodgien (CEDAC) / Cambodian Center for Study and Development in Agriculture(カンボジア農業研究開発センター)
期 間:2016/01/29-2016/02/27
国・地域:カンボジア、プノンペン市とタケオ州ほか

自己紹介
アジアNGOリーダー塾に入った理由は、同じ志を持った人との出会い、社会に貢献するためにもっと学びたいと思ったこと、インターンシップがカリキュラムに入っているということで、実際に国際協力の最前線に立ってみたいという思いがありました。

そして、今回のインターンシップの目的は4つで、1)NGOによる農民マネージメントを学ぶ、2)カンボジア最貧困層の現状を学ぶ、3)農業についてより深く学ぶ、4)何らかのアウトプットを現地に残すこと、でした。

インターンシップ受け入れ団体「CEDAC」とは
「CEDAC(カンボジア農業研究開発センター)」は農業従事者に対して農業技術の普及支援、さらに、生産者組合や村落金融など、農業の生産性をあげ、農業組合の連帯を強めるという支援を行っています。カンボジア24州のうち23州で活動しており、支援する農民世帯数は20万になるそうですが、職員数は100強という少なさには驚きました。今は寄付金や補助金が資金源となっていますが、将来的には組織運営は自費で行うと公言しており、実際に農民へ支援する直接的な事業に助成金などを得ていますが、それ以外はもらわないとしています。

インターンシップのスケジュール
koichi0.jpg1週目と最終週は首都のプノンペンにいましたが、2~4週目はプノンペンから外に出て、事業地であるタケウ、コンポンスプー、コンポンチュノム、コンポントム、シェムリアップ州に出て、農民宅でホームステイをしながら、農民にインタビューをしたり、農地を見学したりしました。







インターンシップの内容~2つの提言
まずはCEDACの事業を知ることから始めました。そして、大きく2つの疑問が湧いてきました。

Koichi3-1.jpgひとつめは、CEDACはSRI(集約的稲作農法*)という有機米を育てる農法を農民に推進し、SRIを導入後、米の生産量が農家によって2倍から10倍まで伸びていました。しかし、なぜ世帯によって収量の増加率が異なるのか、疑問に思いました。そこで、「貧困度」、「土地の状態」、「近隣住民との連携」、「SRIに関する理解度」、「農業に対する意識」の5つの要素が収量に影響しているのではないかと仮説を立て、40の質問を作りました。そして、農家にホームステイしている間、6州の農民計24人農民にインタビューしました。(*苗の植え方、水の管理、有機肥料の活用と土壌の改善などによって、限られた資源で稲の収量を増やす農法)

結果としては、相関がないものは「農業に対する意識」で、あとは相関があるという結果になりました。僕にとっての発見は、近隣住民との連携が重要ということです。CEDACが事業を通じて行ってきた生産者組合づくりやコミュニティリーダーの育成の結果が実証的に出たと感じました。週に一度、周りの農民と昼食や夕食を取り、田植えや収獲時に協力するという地域もあれば、それをやっていない地域もありました。CEDACが実際に農村に訪問する頻度は、どの地域であろうと同じで週に1度でした。そこで、僕は、職員の訪問頻度を対象地域の農民の連携度にあわせて変えてみてはとどうかという提言をCEDACに行いました。

Koichi4.jpgもうひとつの疑問は、CEDACの流通支援事業である「CEDACショップ」が赤字であることです。CEDACショップは、プノンペンに8つ、シェムリアップに3つ、計11店舗あり、農民から農産物を買い取り、農民に代わって販売しています。農民は自分たちでコストに見合ったように販売する技術や場所がありません。赤字の理由は、海外から安価な農産物が入っていること、また、有機農産物の市場規模はあまり大きくないにも関わらず、CEDACが販売する有機野菜は一般の人々には高価であることです。

この状況を打開するために、まず課題を挙げて、それぞれに対処方法を考えました。課題としては、「市場が狭い」、「競合他社が多い」、「コストがかかる」、「店舗運営の悪さ」をあげました。青空市場で販売されていた野菜の状態は良くなく、買わない理由に繋がっているのではないかと考えました。色々と考えた結果、平均所得が高く、中心部の土地が活用できそうな、タケウ州で、農民自身が販売する「ファーマーズ・マーケット」を作ってはどうかと、提言しました。

2つの提言をCEDACに行いましたが、1つめの提言については、YESともNOとも言われませんでした。現状のやり方で農民と信頼関係を作っており、それを突然、変えることはリスクがあるという返答でした。

2つめの提言「ファーマーズ・マーケットの設立」については、同様の構想を持っていた人がCEDAC内におり、その人が賛同してくれ、その人と一緒にプランを立て、タケオ州でファーマーズ・マーケットができました。もうひとつコンポンスプー州でも設立の計画が立てられました。

まとめ
Koichi5.jpgCEDACは受益者の自立を念頭に置いた支援を行い、農民はCEDACからの技術支援に対し、対価を払う必要がありました。国際協力は受益者が独立することが目的で、このような方法には僕は共感しました。しかし、CEDAC内では農民からお金を取ることについて色々な考え方があり、「社会貢献性」と「利益主義」のバランスは難しい課題であることが分かりました。

カンボジアはこれから工業化が振興していくと思います。都市に人口が流入し、スラムが生まれるかもしれません。CEDACがその中でできることというのは、いかに農業、そして地域コミュニティを守っていくかだと思います。創設者のヤン・セン・コマさんは、ご自分が政治の世界に入ることで、国の方向性、開発戦略に自分が関わっていきたいという考えを話していらっしゃいました。

アジアNGOリーダー塾での学び
Koichi6-1.jpgアジアNGOリーダー塾を通して、自分の関心事である「貧困」に留まらず、広い視野を持つことが必要だと感じました。貧困に関わる問題として、「人権」、「環境」など、複雑に絡む問題があり、それをアジアNGOリーダー塾の中で学ばせてもらいました。ほかにも、同期の塾生から「一期一会を大切にすること」など、多くのことを学び、刺激を受けました。

現在は大学生であり、これから就職活動が待っています。来年の夏休みを利用して、自分がやっているNGO活動の中で試してみたいアイデアが浮かんだため、やってみたいと考えています。

(ありがとうございました)

【参考】
-アジアNGOリーダー塾とは、日本が深いつながりを持つアジアの中で、国境を超えて社会変革をめざす「21世紀を担うNGO起業家」の発掘・支援を目的に、2009年度に開講た人材育成塾です。
-2016年度アジアNGOリーダー塾 塾生追加募集中 ご案内はこちら
-修了生 池田さんからのメッセージ「私がアジアNGOリーダー塾で得たもの:圧倒的な現場感覚と一生の仲間たち
-2015年度 池田さん以外の塾生のインターンシップについて「塾生および派遣団体紹介