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2016年11月2日  

アジアNGOリーダー塾 第5回課題ゼミナール
"農村の問題を考える-私たちは何ができるか"


10月15日(土)、アジアNGOリーダー塾の第5回課題ゼミナールが栃木県那須の(学)アジア学院で開催されました。アジア学院は、1973年の創立以来、アジアやアフリカ、太平洋諸国の農村地域から、"草の根"の農村指導者を学生として招き、実践的な学びを提供しています。

アジア学院に到着後、まずは荒川朋子校長の引率で、学院内の農場や豚舎などの施設を見学しました。その中で、アジア学院の成り立ちや、学院が推進する有機農業の手法、東日本大震災後の苦労など、多岐にわたるお話を伺いました。

午後には塾生がグループに分かれ、ミャンマー、インドネシア、フィリピンからの研修生にそれぞれインタビューをしました。1日を通じて、農村の問題について学び、問題意識を深めることができました。


アジア学院の見学の様子

塾生の学びと感想

Tさん:
課題図書「土とともに生きる―アジア学院とわたし」(高見敏弘著)を事前に読み、有機農法やアジア学院の見返りを求めない生き方は重要だと感じましたが、実際にアジア学院に来て、ここまで循環しているシステムを作っていることに驚きました。残飯を肥料にしたり、糞をメタンガスにしたりと、徹底していました。昼食はとてもおいしく、おいしい食材を使っているのだと思いますが、「学院のこの人たちが作ったもの」というストーリーが見えているので、よりおいしく感じるのだろうと思いました。

午後には研修生のヨー・リンさん(ミャンマー出身)から話を聞きました。私はミャンマーに複数回行ったことがありますが、都市部ばかりでしたので、焼畑の問題など農村の問題を直接伺って驚くことばかりでした。ヨー・リンさんはこれから焼畑農業ではなく有機農業をやりたい、エレファント・ヤム(サトイモ科の植物)を栽培して販売したい、と話されていて、自分たちが食べられるものを作ると同時に、お金を得る必要もあり、貨幣経済にも関わっていかなければならない現実を感じました。


アジア学院の見学の様子
ミャンマー出身の研修生ヨー・リンさん(写真右)にインタビューをする塾生たち

Hさん:
私は研修生のヒエロンさん(インドネシア出身)から彼の出身の村の話を聞き、問題をよく理解することができました。事前学習で課題図書「土とともに生きる―アジア学院とわたし」(高見敏弘著)を読み、とてもローカルな問題が取り上げられていたにもかかわらず、私は「貧困」などと大きな言葉でしか捉えられていなかったことがわかりました。根本的に見方が違うと感じ、人と向き合って話をすることは大切だと感じました。

他のグループの発表を通して、リーダーには「hard work (努力を惜しまないこと)」「time management (時間管理)」「 patience (忍耐)」「sacrifice (犠牲)」「learning (学び続ける姿勢)」の5つが必要であると学びました。そして、農村の問題は農村に住む人々だけの問題ではなく、人間すべての課題として自発的にできることから取り組む必要があると痛感しました。また、農村の奥地にいる人びとの意見もしっかりとコミュニティのリーダーたちが聞き、政府の方針にも反映させる必要があることも学びました。

安全で美味しくて、栄養のある食べ物を作るという作業は時間と労苦を要します。アジア学院内の畑や作業場を見学しながら、食の安全と人びとの健康を守るということがこれほどまでに大変なのか、と考えさせられました。私が農家に転職することはないのかもしれません。しかし、農業をやらなくても、有機栽培や日本の農業について知ろうとする姿勢を維持し、無理のない範囲で、自分を含む周りの人びとの健康を守り環境を守る生活を送りたいと感じました。

アジア学院の見学の様子


リソースパーソン・荒川朋子先生(アジア学院校長)から塾生へのコメント

人間は本来、食べることにすべての時間をかけていました。人は、協力して農作業をし、食料を貯める必要がありました。そうして、村や文化、人類が発展してきたのです。しかし、今は食べることに時間を費やしません。むしろ減らそうとしています。アジア学院では、みなが食べるために一生懸命、生きています。そこには充足感があります。その充足感がないために、今の現代の色々な問題があるのではないでしょうか。アジア学院の創設者である高見先生は、食料の「自給」は人間の「自立」と言います。その自立とは、経済的な自立だけではなく、精神的な自立にも繋がっているでしょう。

皆さんは、農村の問題、アジアの問題に関わろうとしていますが、必ず、農業や食の問題と関連してくるでしょう。農業はどういう方向に進むのかと考える時がきます。再生不可能なエネルギー(化石燃料)に依存する形、人間の尊厳を奪う農業では、村が段々と疲弊していきます。

アジア学院は、大地を大切にし、食を大切にし、命を支える農業を大切にしています。その精神は研修生たちがそれぞれの地に持ち帰り、村を支えるものとなっています。

アジア学院の見学の様子