【現地レポート】ストリートチルドレンのクリスマス
この週末はクリスマスです。フィリピンの路上で暮らす子どもたちや若者たちはどのようなクリスマスを過ごすのでしょうか。
自身も元ストリートチャイルドで、現在はACC21の活動に携わるジュード・ナティビダッドがマニラでインタビューをしましたので、レポートをお届けします。
クリスマスまでに刑務所を出たいという願いが叶って幸せ
夜11時を過ぎても路上で過ごしていたエミリオ(20歳、仮名)とマリア(18歳、仮名)から話を聴きました。
エミリオは生まれた時からストリートチャイルドで、今も路上で家族と暮らしています。マリアは、14歳の頃に妊娠したことをきっかけに路上で暮らし始めました。エミリオは10カ月前、絵を描くために薬剤を持っていたことが「薬物の不法使用」と見なされ、逮捕されました。エミリオがクリスマスまでに出所できることを願っていたところ、つい先日その願いがかなったため「クリスマスまでに願いが叶って幸せ」と話していました。
この週末は、路上でプレゼントをくれる人を待ちながら、スパゲッティとチキンを食べてクリスマスを2人一緒に祝うつもりです。
「貧しくってクリスマスなんて祝えない」
続いて、同じく夜11時をすぎて路上で過ごしていた4人の男の子たち、ジェームズ(11歳、仮名)、ガブリエル(14歳、仮名)、フランシス(15歳、仮名)、ミゲル(12歳、仮名)から話を聴きました。
ジェームズとガブリエルは、生まれた時から路上で暮らしています。フランシスは2年前に両親が離婚したことをきっかけに、田舎からマニラに来て、きょうだいのために路上で物乞いをするようになりました。ミゲルには住む家がありますが、両親が路上で商売をしているため、夜遅くまで路上で過ごしているそうです。
4人にクリスマスの過ごし方を聞くと、ジェームズとガブリエルは「貧しくってクリスマスなんて祝えない、ただ路上でプレゼントをもらえるのを待ってるんだ」と話します。フランシスは両親と田舎で暮らしていた頃はクリスマスを祝っていましたが、今では祝わなくなり、友達と一緒に誰かから何かをもらえるのを路上で待っているといいます。ミゲルは「スパゲッティやチキンでクリスマスを祝いたいな」と話してくれました。
最後にクリスマスに欲しいものを聞いてみると、ジェームズ、ガブリエル、ミゲルはそろって「自転車が欲しい」と話してくれました。フランシスは「離婚した両親が仲直りしてくれることが、このクリスマスに僕が欲しいものだよ」と話していました。
最後に、インタビューに答えてくれた方々におもちゃとスリッパをプレゼントしました。私自身もストリートチャイルドでしたので、子どもたちの姿が以前の自分に重なりました。
(報告:ジュード・ナティビダッド)
フィリピンは、その人口の90%以上がキリスト教を信仰し、街はこの時期とてもにぎやかでクリスマスムードに溢れます。そのなかに、誰かが恵んでくれるのを待ちながら路上で過ごす子どもたち、若者たちの姿があります。
私たちは、フィリピンで実施する「Project Bamboo:路上で暮らす若者の自立支援プロジェクト」や「“ストリートチルドレンZERO”キャンペーン」の活動を通じて、ストリートチルドレン・ユースが路上を抜け出し、夢や希望をかなえられる未来をめざして活動していきます。
現在、「若者チャレンジ100募金」に挑戦しています。専用ページがありますので、ぜひ合わせてご覧ください。