プロジェクトで身につけた自信を胸に【フィリピンの路上から】

2022年7月、「フィリピンの路上で暮らす若者の自立支援プロジェクト～Project Bamboo～」が若者一人ひとりの生活や人生にどのような影響を与えているのかを知り、今後に生かしていくために、修了生4人からオンラインで話を聞きました。そのひとり、キーン・ヴィタラさん（23歳）のストーリーをご紹介します。

キーンさんは、マニラで生まれ育ちました。幼い頃、実の母親の知り合い（養母）に預けられ、養父母の元で育ちました。実の母親は当初「必ず迎えに来る」とキーンさんに約束しましたが、その約束が果たされることはありませんでした。実の母親に捨てられたという経験はキーンさんに暗い影を落としているようで、インタビュー中にも当時を思い出して泣き出す場面がありました。

キーンさんは18歳で最初の子どもを妊娠し、出産しました。妊娠を知った養母はキーンさんを𠮟りつけ、暴言を繰り返したため、キーンさんは家を飛び出してしばらく路上で暮らすことになりました。しかしその生活がたたって病気になり、パートナーの実家で暮らすようになりました。現在は、その時に生まれた6歳の娘と2歳の息子、パートナー、義母、パートナーの兄弟姉妹とその子どもたちなど15人で暮らしています。しかし、パートナーは結核を患い、家族のほかの者たちは 仕事をしたがらないなど、家計負担はキーンさんに大きくのしかかっています。

キーンさんが自立支援プロジェクトに参加しようと思ったきっかけは、このプロジェクトを通じて路上の若者たちが学び、スキルを身につけ、実際に仕事に就いているのを目の当たりにしたからです。「私もプロジェクトに参加して、学びたいと思いました。」とキーンさんは振り返ります。

幼い二人の子どもたちを抱えてプロジェクトを修了するのは簡単ではありませんでした。研修前の時間は育児に追われ、研修が終わるとすぐに生活費のために知人の店で働きました。それでも、苦労して参加したプロジェクトは、キーンさんに様々なことを教えてくれたと言います。

「プロジェクトを通じて、正しい価値観、生き方、行動を学びました。また、他の研修生とのやりとりを通じて、他者との協力の仕方や関係の作り方を学びました。何より、プロジェクトを修了したことで自分に自信がつきました。最近仕事の契約期間が終了したのですが、すぐに新しい仕事が見つかると前向きにとらえています。」

キーンさんはプロジェクトを2022年春に修了してすぐ、マニラ市の災害リスク管理局 に4か月間の契約で採用され、働き始めました。キーンさんの言葉にあるように、インタビュー当時は契約期間を満了し、新しい仕事を探していました。就職活動を続けながら、日々の生活費のために知人の店を1日に12時間手伝い、日当としてわずか250ペソ（約550円）を受け取っています。キーンさんとパートナー、子ども二人の生活だけを考えても、あまりに心もとない金額です。

それでも、キーンさんはプロジェクトで身につけた自信を胸に、前を向きます。

「いつかは、家族の生活を支えられるよう、コールセンターで働きたいと思っています。そのためには、最低でも高校を卒業し、英語やコンピューターについて学ぶ必要があります。仕事をしながらお金を貯めて、夢を叶えたいです。」

最後に、キーンさんから日本の皆さんへメッセージをいただきました。

「プロジェクトを通じて、様々なことを学びました。日本の支援者の皆さまには、とても感謝しています。あなたたちがいなければ、私のような若者がこのような機会を得ることはできませんでした。ほんとうにありがとうございます。」

ACC21ではこれからもキーンさんのような若者が、自立のための一歩を踏み出せるよう、支援活動に取り組んでいきます。

2022年9月13日、キーンさんたち路上の若者たちと話せるイベントを開催します！下記画像をクリックすると詳細ページにジャンプします。たくさんの方のご参加をお待ちしています！

引き続き、ご支援をよろしくお願いします。

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みずほ銀行	【金融機関名】 みずほ銀行 【支店名】 駒込支店 【店番号】 ５５９ 【預金種目】 普通 【口座番号】 １１２０４５１ 【口座名称】 特非）アジア・コミュニティ・センター２１

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