認定NPO法人アジア・コミュニティ・センター21(ACC21)は、
2005年3月の設立以来、アジアの人々や現地の団体とのつながりを大切にしながら、さまざまな活動を続けています。
■ビジョン vision
人々が温かいつながりのなかで共に生きる、多様な“コミュニティ”に彩られた世界の実現をめざします
今、世界では「自分たちの暮らす地域や国だけが良ければよい」という風潮が高まり、それが資源や土地の収奪を目的とした戦争や紛争、過度な人間による消費を元凶とした資源の枯渇と地球温暖化、それに伴う自然災害の多発、という形で顕著に表れています。
日本国内では、異なるルーツ、ジェンダーをもつ人々や、社会的に弱い立場に置かれている人々の存在を認め、多様性を重んじ、尊重し合うことの大切さが認識され、共感の輪が広まりつつありますが、その一方で、多様なバックグラウンドをもつ人々の存在や権利を認めず、偏見を改めず、排除するような状況は続いています。 私たちACC21は、“自分さえよければよい”という考えに基づく、奪い合いや暴力のあふれた世界ではなく、人々が支え合うコミュニティにあふれた世界にしていくことを目指します。
ACC21は『コミュニティ』を、国や地域などの地図上で区切られた範囲だけでなく、特定の課題や関心をもつ人たちやグループの集まりも含むものととらえています。そして、そのような多様なコミュニティが集まる私たちの社会全体も、共に生きるひとつのコミュニティととらえています。多様なコミュニティが、外に向けて開かれた視点をもち、あたたかなつながりの中で、互いの違いを認め、尊重し合い、共存する世界とすることをめざし、このビジョンを掲げます。
■ミッション mission
ACC21は、プロフェッショナルな“コーディネーター集団”として、
様々なリソース(資金、ひと、知識・情報など)を橋渡しすることで、
社会課題に主体的に取り組み、問題を解決できるよう貢献します。
■2030年までにめざすこと
ACC21はビジョンの実現にむけて、未来の担い手である若者たちと共に、チャレンジします。また、そのために、あらゆる世代や様々なコミュニティと協働し、若者たちがこれからの社会を作っていくための環境を作ります。
チャレンジ1: 若者たちと100のチャレンジを創成します。 |
チャレンジ2: 「アジア若者みらい基金」を1億円規模の基金に育てます。 |
チャレンジ3: ACC21と共にチャレンジする100人規模のボランティアチームをつくります。 |
■設立趣旨
多様な言語、宗教、文化、伝統等を持つ民族・人々から構成されるアジア。人々の生活を取り巻く自然環境は、熱帯から温帯そして乾燥帯へと広がる気候の中で、様々な装いと表情を見せています。日本に住む私たちはそのような豊かなアジアの一員であり、世界の中でもとくにアジアの地域で生活する人々と深いつながりを持っています。歴史的にも文化や経済そして政治においても大きな影響を受け、また影響を与え、強い相互依存の関係にあります。同時に日本はかつてアジアの一部を戦場とし、多くの人命を奪い多大な被害をもたらした加害者であり、被害を受けた人たちの間には今もなお消すことの出来ない傷跡が残っています。私たちは、この歴史的事実を直視しつつも、増大する相互依存関係の中で、域内の人々と協力・協働し、より創造的で公正な社会づくりに貢献したいと考えています。
そうしたアジア地域の現実に目をやると、日本や欧米先進工業国が主導する経済のグローバル化によって、都市中心型の開発が進み、一方で地方の伝統的農業や産業が衰退し、そしてそれぞれ固有の文化も片隅に追いやられている姿があります。さらに、従来の支配階級に加え、経済のグローバル化の波を捉えた新しい富裕層が出現し、他方で犠牲となった新しい貧困層が増大。そこにはかつてないほどの貧富の格差が生じ、社会的不安が生じています。貧困に追いやられた人たちは、人間として生きる上での諸権利を奪われ、日本の私たちからは想像も出来ないような劣悪な生活環境の中で「生命」を維持しています。
2008年現在、約40億人がアジア地域に居住していますが、このうち、1日1ドル(約100円)以下で生活する、いわゆる所得貧困者数は7億人以上に達しています。これらの人々の多くは、農村では土地なし農民として、また都市の不法居住区ではスラム街を形成し生活しています。十分な食事もとれず、慢性的な栄養不足にあり、衛生的な飲料水も確保出来ません。子どもたちの多くは、学校へ行けず、路上での生活を余儀なくされ、物乞いをしたり、健康を損なうような労働に僅かな収入を求めざるを得ない状況です。また、人身売買の犠牲となり、性的搾取を受ける労働に従事させられることもあります。
私たちは、アジアのこうした、人間として生きる諸権利を奪われた人々や子どもたちに気づきながら黙殺することは出来ません。また、このような状況をつくりだす社会のあり方を看過することも出来ません。地球上に生きる同じ人間として、そして地球市民として、これらの人々が生活上の基本的権利を得て、人間の尊厳を保つことの出来る状態をつくりたいと願います。そして、私たちは個々人や各社会・国などの多様性を尊重し合うとともに、アジアの仲間たちと共に助け合い、支え合う社会をこのアジアにつくり上げたいと願っています。
上記の構想を追求すべく、私たちは、以下の4つの”流れ”をつくり、推進する活動を行います。
1.”資金”の流れ:公益信託「アジア・コミュニティ・トラスト」(ACT)、その他途上国への資金助成を目的とする信託基金等の支援先に関わる専門的調査と事務局機能を遂行することにより”資金”の流れを促進し、また自ら資金開拓を行い、貧困から脱却しようとする人たちに自立的発展を促す “社会投資”としての資金的支援を行います。
2.”人”の流れ:”相互扶助””共生”の意識を高めるため、国を越え、社会階層やセクターを越え、心の交流を基礎にした人的交流を推進します。
3.”知識・情報”の流れ:貧困がゆえに教育を受けられず、知識・情報にアクセスすることの出来ない人たちに、情報技術その他の方法を通して知識・情報が得られるように支援します。また、日本国内でアジア域内の貧困者の実情についての理解を促進し、そして貧困者への支援の輪を拡げるための情報の普及を図ります。
4.”政策・制度の変革”の流れ:社会的公正実現のための政策提言を行い、提言に沿った制度の確立を図るための運動を行います。
そして、これら4つの”流れ”をさらなる効果あるものにするため、必要な人材を育成し、同じ目的・理念を持つ国内外の市民団体、その他民間非営利団体、経済関係団体、政府関係団体等と協力・協働関係を構築します。
以上の背景と考えに基づき、私たちは、特定非営利活動法人アジア・コミュニティ・センター21を設立し、アジアの人々の発展と福祉の向上に広く寄与し、そして世界の平和と発展に貢献することを目指します。